もえぎの日録

関心空間(2016.10.31閉鎖)から移行 日記とキーワードが混在しています 移ろう日々のことなどを記します

斜 光

いくたびも浮き沈みつつ流されて

   ひたに生きこし いづくにむかふ   駿河療養所 梅林加津

久しぶりに家族3人が揃い 彼岸の墓参のあとの帰り道

これまで立ち寄りたいと思いつつ、後回しにしていた東村山市に在る

多摩全生園内 国立ハンセン病資料館 に行く機会にめぐまれました

わたしがハンセン病の文字を初めて知ったのは中学生頃

TV放映された 松本清張原作:野村芳太郎監督:映画『砂の器』 を観てのこと

http://www.youtube.com/watch?...

国を挙げて隔離政策をしている重い病があり

それはどうも偏見に満ち満ちているらしく

ドラマの冒頭と末尾に簡単な説明テロップが入るのみで詳細な解説はないものの

映画を観ればその差別がいかなるものかは 知識の無い中学生にも瞬時に理解できました

それから十数年後

上京し結婚して、1989年からレッドアローと黄色い電車が走る沿線住民となり

時折、電車内で、これまで見たことの無い、眼鼻や額の区別がつかないような相貌の方を何度かお見かけし

この方たちがハンセン病を患った方で

国の誤策により 隔離政策の弊害を被り 病を悪化させてしまった方なのだと理解するとともに

彼らの容貌を隠さないプライドと勇気には圧倒されました

1996年 らい予防法廃止

2001年 ハンセン病違憲国家賠償請求訴訟 

      熊本地裁は原告勝訴判決

関心空間を退会されたwaheiさんが、以前にキーワード登録されていました

資料館設立当初は、所定の開館日のみの公開が

現在は、月曜定休(例外あり)ほか 通年無料入館できます

アクセス・利用案内 

十数台の駐車スペースを持ち 櫻林を背後にきれいな建物を入り

奥の階段を上がると2階が常設展示のスペースです

こども向けに作られた解説リーフレットがこの病の歴史や扱いの背景を端的に分かり易く説明して感心しました

人形の展示は真に迫るものを感じさせ

古い衣服や包帯を見て、砂の器の場面を想い出し 目頭が熱くなりました

らい予防法廃止運動資料・北條民雄作品、現在入所されている方たちの絵画・陶芸・木工作品の展示

年一冊定期刊行の文集も眼を惹きました

詩人の 塔和子さん は、この8月に天寿をまっとうされたとのことです

図書館も併設されて利用可能

階下スペースには、マチ附きの立派な資料(画像下)が何冊も無料配布されています

過去の企画展のために作成された残部と思われますが、無料でいただくのは申し訳ないようなフルカラーのものもありました

『ふれあい文芸』は、208頁簡易製本平綴 公益財団法人:日本科学技術振興財団発行 無料

財団には潤沢な予算と余剰資金があるのか、、と余計な想像もしてしまいましたが

これらの配布資料の紙質とうを節約し、入所者平均年齢が80歳を越しているという高齢の方々への何か別な資金利用方法はないものか、、、と、素朴に思い至ります

現在、この病の日本での発症者数は、年間10人を切り、その多くが早期発見の治療で完治しているそうです

全国の国立療養所15ヶ所・私立療養所2ヶ所も、将来的には病の根絶とともに姿を変えてゆくことでしょう

謝罪・名誉回復措置・社会復帰・社会生活支援・在園保障 と

国の施策はまだまだ続くと思われ

過去の誤った認識と政策と

集団の暴力意識が生み出した差別の遺産がこれらの療養所に現存しています

こうした認識の過誤が繰り返されぬよう、みなさまぜひ一度 足をお運び実感してください

春には櫻もうつくしく咲くことでしょう

今はマンジュシャゲ(画像上)が紅色に咲きほこっていました

参照 大江希望氏による「癩」 ノート1994

http://www.ne.jp/asahi/kibono/sumika/...

斜 光の画像

斜 光の画像

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