もえぎの日録

関心空間(2016.10.31閉鎖)から移行 日記とキーワードが混在しています 移ろう日々のことなどを記します

2009-01-01から1年間の記事一覧

焔 火

. 不眠の天使さまよひゐるべし 小さなる黑き菫の束あるあたり 「 灰 姫 」 葛原 妙子 * 一時は水を飲む力もなく、重篤な状態に陥ったものの 見事に回復した入院中の義母に食欲も出てきてひと安心 先日の昼食は、流動食のお粥に柚子味噌が添えられ 病院食も季…

年 瀬

トラトラトラ の日も過ぎて シンガポール・北海道・沖縄 の3ヶ所から 自由選択する息子の来月の修学旅行先は、学内2番人気の沖縄となりました。 一番人気はシンガポールで、あちらは100人弱の一行になるとか、、 旅行課題本(高文研)に目を通すと 諸島…

甃 石

やがて冷たき闇の最中にわれら沈まむ、 さらば、束の間のわれらが夏の強き光よ。 われ既に聞く、中庭の甃石に 痛ましき響を立てて落つる焚木を。 冬のなべては身の裡に今し還らむ、 憤怒(いかり)、憎悪(にくしみ)、戦慄(をののき)、恐怖(おそれ)、厳…

尊 厳

. ちっち うんう 息子が排泄を知らせるようになったのは摑まり立ちの頃だったろうか、、、早々、幼児用便座に座らせ ひとりで初めてできた時は、小躍りして誉めた事を思い出す * 10月末の夕刊連載 排泄と尊厳 の記事は 近い将来、身近に起こることゆえ気に…

枯 淡

ちきちき ひんひん モズ ジョウビタキ の高啼きが賑やかな季節 池には北から鴨の来客も 秋 は うつわ ではないけれど 益子・笠間の雑誌で気になった方の展示会が折よくありました。西荻魯山で行なわれた額賀章夫さんの展示会に行ってきました。 手にとってし…

妄 誕

きっぱり と来るのが 冬 紺碧の空に映える富士の高嶺の雪被り ゆうぐれの耿々とした月あかりと星の光に いくぶん早い初冬の訪れを感じるこのごろ * 松丸書店も見たかったので久しぶりの丸の内 本好きの人には、かえって見難い棚になっているかもしれません。…

須 臾

時間があればあったで先延ばしにしてしまう事柄も いまはこれまで と、期限付きなら思い切りよく出かける私のいい加減なフットワーク ここ数年、春秋と薔薇の季節には訪れていた神代植物公園 昨年は期を逸して見逃しました、、、、 魅了されたイングリッシュ…

点 睛

衣替えの季節 はまた 秋薔薇の季節 でもある 袖を通さなくなった冬物にもブラシをかけてみたり 樟脳の匂いを飛ばすために陰干しをしたり 例年の暖冬のため、冬支度にはまだ早いと思いきや ジョウビタキの甲高い声が、澄んだ空気の中に響いている * 久しぶり…

宵 待

雨降りお月さん 雲の影 夕刻 東の縁に座卓を出して 秋の実りの供物を並べた日は今何処 * 連休明けから月末の繁忙が過ぎてやっと一息 あっという間に過ぎる時間、、、 多忙な人は人生がいかに早いことか ひとえに私の時間の使い方の不味さがそう思わせるので…

巷 間

彼岸花が咲き出した 秋晴れの爽やかな日和に久しぶりに外濠公園散歩 千代田区富士見の戸建てに住む待ち合わせた先輩は カットモデルをした美容院帰りで遅刻 神楽坂紀の善で一服した後 どなたも並んでいないのでぺこちゃん焼き なかなかコワい 顔 顔 顔 * こ…

土 俗

山下菊二 はじめて耳にする名前だと思えば 大江健三郎の文庫装丁画などをしている、、 日曜美術館放映の作品『あけぼの村物語』は 動物たちの表情が、一見 賢治童話の挿画を思わせ、語りの田中泯の鈍重な声に注意深く耳傾けると、その異様さときたら、ヒエロ…

愁 音

夕顔の花がつぎつぎに咲いています この夏は、しのぎやすかったものの 秋の味覚の出来具合がちょっと気になるこの頃 初もの 秋刀魚も出まわりはじめました 草叢からはお盆前からエンマコオロギの声 地上の蝉の亡骸が、不意打ちの如くバタバタと黄泉還る すさ…

野 分

地震と颱風が一緒にやってきたので お盆の帰省に影響が出ている方も多いことでしょう みなさま どうぞお気をつけて 都内は、道路も電車も空いてきたように思います * 今朝は、5月に見逃したグレン・グールドの1回目の番組を観る為に5時起き BSと勘違いし…

囁 草

. 常によく見る 夢乍ら 奇し 懐かし 身にぞ沁む P.ヴェルレーヌ よくみるゆめ 上田敏譯 山間に漂う乳白の低い霧雲が途切れると 先ほど迄 地を叩いていた雨が嘘のように静まる 小降りとはいえ、やまない雨の湿地植物園には 人影もまばら 溜まりに ふたたび大…

短 夜

もう 8月 * 年末から調子の悪かったコンパクトデジカメがついに動作しなくなり修理 代金は見積もり通りの17810円也 新品買い替えのお薦めも聞いたが、前回使い倒したCOOLPIX4500を修理せずに廃棄した後悔もあり今回は迷わず修理、、む、、確かに安くはない…

白 馨

. 七夕 の ゆふぞら は 曇 の ちぎれ飛ぶ 空もよひ ぼうやりとした雲間 に 朧なる月 商店街には笹飾りが揺れ 夕刻 俄かに 雨混じりの風 街は水無月より早くもバーゲンシーズン めぼしいものには出逢わずだったが 唯一 春から躊躇して諦めたものが Athena New…

変 幻

ねんねの ねむのき ねむりのき そっとゆすった そのえだに とおいむかしの よのしらべ ねんねの ねむのき こもりうた うすくれないのはなのさく ねむのこかげで ふときいた ちいさなささやき ねむのこえ ねんね ねんね と うたってた ふるさとのよの ねむの…

水 府

ぼんやり信号待ちをしていたら かなり塗装の剥げ落ちたエンジ色の懐かしいBXを見かける カヌーだかボートだかを乗せた車の運転手は中年のおばさま 信号が変わって歩き出したらこんどは数台後ろにへの字に口を開けた紺色のC4が、、これも中年おばさまの運転 …

靑 魚

息子は、 今年度から生活文化の授業が土曜日に2時間できて 小学校以来の調理実習が始まった。 先月の第1回目は、自由献立○○○カロリーの昼食を作る 今月の第2回目は、鰺をさばく 1回目は、お手軽焼きそばにしたというから、なんたる手抜き そして今回は、…

雨 滴

至上稀にみる発売前からの増刷新刊を購入 松本健一の口評では これまでのお洒落な都市小説のカラを破る新たな試み だそうです。 まだ、初めの数頁の段階で息子に横取りされましたが ヤナーチェクのシンフォニエッタが最初のほうに出てきたので これは確か、…

揺 籃

薔薇 胎児 慾望 その他幽閉し ことごとく夜の塀そびえたつ 塚本邦雄 3年 というのはひとつの区切りの時間 イングリッシュローズ(ER)に少し慣れたところで 黄橙のゴールデンに相性良さそうな色合いの大株をと 黒真珠やBaron Girod de l'Ainバロン・ジロー・…

野 辺

ホトトギスの声を聞いたような、、、 空耳か 近くのS公園へ 以前に渡りの途中のクロツグミに出くわしたことがありました。 五月は、水辺にエゴノキ・スイカヅラ・ノイバラも咲き出し 側道に植えられたハゴロモジャスミン・テイカカヅラが馨りを添えて 西の野…

馥 郁

GWの雨の中 D・オースチンの薔薇 橙色の蕾が燭台の灯りの如くに頭をもたげ ほころびはじめればその橙色はいづくにか霧消し カスタードクリームのような半球の椀がそこかしこにぽわぽわと 咲き始めは ティー香 後に フルーツ香 と言われているこの花の香り 果…

奏 友

GWの狭間 部活と称して祝祭日も学校に行き続ける高2の息子は 昨年から部活仲間とバンドを組んで何を目指しているのか (学園祭出場しかないはずなのに) 昨年の学祭では、学内オーディションで落選し出場かなわず 自分たちより実力の無いバンドに票の入った…

穀 雨

見る間に欅の緑が色濃くなり わが家のベランダガーデンもシーズン到来 中でも、朝夕に垣間見るギボウシの伸長が嘘のような勢いで 夕には、その姿が明らかに朝とは違って葉が大きく広がっている 冬の間 プランタに放ったままにもかかわらず 季節が廻れば、ギ…

復 古

今年は 花冷えもあり櫻の花期が長かったせいか、満開と同時に欅の芽も吹き出して、昨日の吉祥寺;井の頭公園は、緑陰に集うおおぜいの人で自転車もまともに走れない 仕方なく、自転車を降りてお散歩人の賑わいに紛れる、、、 林の下草には ヒメシャガ・タン…

美 童

満開の櫻が風に舞い始めた午後 阿修羅展 JR上野駅公園口 は 行く人来る人 人人人 公園口改札には、阿修羅展:只今の待ち時間40分 の表示 東博に着くと、30分待ち と変更になっているものの陽射しは初夏 汗ばむ陽気に、平成館前の立ち待ちの蛇行列を見てや…

五部浄像(八部衆像のうち)興福寺(奈良)

天平前期の脱活乾漆像 国宝:八部衆立像のうちの一體。 失われた体躯の為か 阿修羅の陰に潜む としはもゆかぬ少年のかんばせ 何をこらえる瞳なのだろう 涙をさしぐむ 一途な ひとみ 凛 と結ばれた唇 次々に知りえてゆく こみあげる おもひ を 無言歌で奏でる…

面 差

今年も 3月半ば 幼稚園からの旧友:Nちゃん(彼女の旧姓より)こと、長谷川裕子さんが長年出品している『エコール・ド・シモン人形展』に伺った 毎年毎年の春のこの時期に、多くの個性的な人形たちに出逢うと 作者の方のお顔は知らず、見えなくとも その作…

告 蝶

あちらこちらから開花の便りが届くものの 花冷えで満開は今暫くといったところ ご近所の白木蓮の大木は嵐のような風で一気に散り敷き 代わって連翹・雪柳が花道を作っている 蒲公英や花韮が陽を受けて笑むように咲きだした 彼岸も開けてほっと一息 年度末の…