枯 淡
ちきちき ひんひん
モズ ジョウビタキ の高啼きが賑やかな季節
池には北から鴨の来客も
秋 は うつわ
ではないけれど
益子・笠間の雑誌で気になった方の展示会が折よくありました。西荻魯山で行なわれた額賀章夫さんの展示会に行ってきました。
手にとってしっくりくる心地や馴染む質感など、是非とも触れて感じたいと願ったものの、最終日のため気に入りの粉引、鉄釉、黄釉 しのぎは売れて無く、ちいさめの黄釉小皿が残るのみ。
店主の大嶌文彦さんの集めた品物にも魅入る物多く、客の若者と話す語気に圧倒されつつ、帰宅して調べるとなかなか面白い方のようです。
店では、李朝風徳利に目が行きましたが、相場を知らないので見送りました。
数日後の 或る日
開いていれば覗く井の頭の 素希商店 前に
「商っています」 の立て札が、、
飾り窓に、三個の李朝風徳利がこちらを見ています。
枝ものや枯れ尾花を投げ入れるにはちょうどよい大きさで
この粉引なら、和洋室にも座りよく使えそうです、、
前回、この店で古風な脚付きお膳を逃したのが瑕で
ここでまた逃せば二度と会えぬ かもしれない
「 古いものですか? 」
「 江戸末期から明治頃の酒を入れた徳利ですね。
昔の人は硝子壜が普及する前は、こんな器で何度も酒屋に買いにいったのでしょうね。
時代劇に登場する貧乏徳利はご存知でしょう?
麻縄を腰に巻いたようなもの、あれに比べれば、随分上品なものですよ。」
「 綺麗なかたちですね、、気に入りました。」
この店の主人は、30代半ばから40代前半とお見受けされ
明治頃の器の他、昭和の錆ブリキや硝子など
銘ありや桐箱入り骨董は少なめの店構えで、骨董素人の私などでも入り易い
修行時代の師匠さんは刀剣の専門家だそうですが
流行りの古物雑貨店よりは正当な、洒落た骨董店というところ
魯山で見たものより、はるかにかたちよいものであったため
躊躇逡巡もいたしました。
勇気をもってお尋ねし、雑談を交えながら交渉してみると
なんと 三割引ほどで一件落着 と なりました。
古民具に属する 名も無き人が作った古徳利
洋間の片隅に設えた空間に枝物でも飾りたいと想います。
◎2003年撮影の神保町李白の画像がありましたのでアップします。
http://shinjuku.cool.ne.jp/cafenasci/...