もえぎの日録

関心空間(2016.10.31閉鎖)から移行 日記とキーワードが混在しています 移ろう日々のことなどを記します

日記

邯 鄲

朝夕のひんやりした空気が心地よく 温かな珈琲がおいしい季節になりました 雨の降る前の先週末 平日にお休みがとれたので仙石原のススキを見に温泉へ 若い頃から幾度となく行っている場所ですが 季節をたがえると 見える風景も違います 昼間はまだ蝉の声も聞…

齟 齬

秋蝉をおくるこころのおくどまでひびき銅鋪をたたく風あり 岸 田 典 子 昼は なを暑き陽射しも にはかに掻き曇る空から ぽつぽつ 雨が落ちたてきたかと思えば いきなりの豪雨が地を叩く空模様 小走りの雲が開け 西の空を茜に染めた 先日の ゆふぐれ (画像)…

送 火

八月も終わり 夏休みの宿題に追われている学生さんも多々居ることでしょう この夏は 七月終わりの花火大会 八月の盆 と 二度帰省 それも 外見は元気に見える老父が、最近ことに弱気に拍車がかかる母を見かねて 私に応援を要請してきた事もあり 事はついでと …

夏 艸

南国クマゼミの声も例年のごと聞こえるようになった東京木立 残暑は続くよ いつまでも 盆前 春彼岸以来 参っていなかったあちらの墓前に 直系血族の家人も息子も、仕事だバイトだと理由をつけて行かないというので わたしひとりで半日仕事の墓掃除も兼ねたお…

風 琴

大陸の高気圧がもたらした雨は涼しい風を運び 立秋をむかえ 急にアブラゼミがにぎにぎしく鳴きはじめました 近々の 酷暑の中 ステッキに生成りスーツ 白い麻の開襟シャツが涼やかな風情の老紳士を 仕事場近くで度々見かけます 近ごろ、こうしたお姿の老紳士…

添 心

落ちてゆく潮にゆだねて救い得ぬこころひとつを遠く去らしむ 『 青 琴 』 岸田典子 より 原爆忌をむかえ 立秋となったのに 近隣では 通常、夏の初めに聞こえるニイニイゼミの高周波音が いまだ朝夕かまびすしく 例年より ミンミンゼミやアブラゼミが少なく感…

大 鴉

黑檀色のこの禽が 世に嚴めしく きはきはしき行儀を見れば こころ哀しき空想も 微笑に解けて儂糺すらく 「 鳥幘は削がれてあれど 夜の領の汀杳かに彷徨し こころ怯儒て面高なる 老來の大鴉にはよもあらじ。 黄泉 閻羅の王の禁領にして 首長の本名を何とか稱…

航 跡

Pilgrim's Progress 「天路歴程」 Matthew Fisher, Keith Reid Procol Harum アルバム『A Salty Dog』より 台風に挟まれた今年の 夏至 も過ぎ この夏は、どんなものになるでしょうか 先日 十代の頃に聴いていた懐かしい楽曲がTVから聞こえてきて よくよく見…

花 腐

. 春されば 卯の花腐し(うのはなぐたし) わが越えし 妹が垣間は 荒れにけるかも 『万葉集』第十巻 相聞 「花に寄せき」一首目がこれだというのは 高橋睦郎 「 季をひろう 」 で知りました 文字通り、わが共同住宅の植え込みに咲いた卯の花もすっかり散り敷…

午 睡

Hypnerotomachia Poliphili 『 ヒュプネロトマキア ・ ポリフィリ 』 ( 邦訳 『 ポリフィルス狂恋夢 』 ) 15世紀イタリア:ドミニコ僧フランチェスコ・コロンナの書いた奇妙な夢物語 1499年ヴェネチアの印刷業者のもとで刊行 英吉利薔薇(画像は最盛…

靑 瞼

. あたへられし切れ長き眼を 少女 知らずしらず閉ぢゐる 午後の刻やさし 瞳のみとなり病みゐし少女 永眠(ねむ)るべく瞳を閉ざしたる夜を帰るも 脈細り少女ほろびしかば 春の硝子にも映らずなりて 吾につれそへり 紋白蝶 死にし少女のなか漂ふに ゆふひの蘂…

痛 覚

かれこれ、ふた月以上も間を空けてしまった、、、日記 記したいことは、多々あれど 怠惰もあいまって 季節は廻り 緑萌ゆ 五月 になりました 雛の節句も間もない或る朝 目覚めると、、、、 ぐれごーる・ざむざ君よろしく 毒蟲に とはゆかないものの 手が、、…

玻 璃

“Fragile” -Sting- Perhaps this final act was meant To clinch a lifetime’s argument That nothing comes from violence and nothing ever could For all those born beneath an angry star Lest we forget how fragile we are On and on the rain will f…

節 会

水仙月の四日 も過ぎて 外気は、まだまだ冷たく感じますが 急に酒宴や会食の予定が入ってきたのは やはり 光の春 春待ち気分 の証でしょう 先日は友人のお誘いで 吉祥寺 meg に初めて行く機会に恵まれました。 吉祥寺通のJAZZおぢさまなら知らない人は居ない…

滋 雨

. 事務は 少しの誤りも停滞もなく 塵もたまらず ひそやかに 進行しつづけた。 三十年。 永年勤続表彰式の席上。 雇主の長々しい賛辞を受けていた 従業員の中の一人が 蒼白な顔で 突然 叫んだ。 ――諸君! 魂のはなしをしましょう 魂のはなしを! なんという長…

点 睛

今年は例年にない寒さのよう、、、な気がしないでもなく それはやはり寒中だから と納得して 欠礼の友人に寒中見舞いなどをしたためたり 2週間ほど前、久しぶりの39度の発熱の折には はちみつ生姜湯を飲んでも、布団をかぶっても治まらない悪寒で 加えて…

食 指

週末,年末年始の過ごし方をいかんせん と思うのも 今年は、すこうしだけ自分の時間が増えそうな予感があるからです 久しぶりにちょいと観たいと食指の動いた映画がちらほら ◎ブリューゲルの動く絵 http://www.bruegel-ugokue.com/ 12/17~ ユーロスペース ◎…

星 霜

穢れなき生こそは贄 凍湖より釣りあげし魚の白銀の反り 苑 翠 子 ここ 関心空間のクラシック愛好家の方たちのキーワードに触れ 藤本一子著 『シューマン』 評伝を手に取る機会に恵まれました。 音楽へのアプローチは、さまざまな方向から語られるもので 演奏…

月 蝕

櫻紅葉も散り敷いて 公孫樹の黄葉が明るく舗道を彩っています さまざまな電飾も冬の夜の街を華やかに演出しはじめました 今夜は皆既月蝕 終わりはまたはじまりでもある、、、と謂った、かの月蝕領主の命日でもありましたことよ 初夏に伺った 川越の陶磁器ギ…

鳥 影

ジョウビタキの高い声が聞こえる 冬のはじまりを告げる声である 年の瀬はなにかと気忙しく あれもこれもと思ううちに過ぎてゆく 知人たちとの恒例の集まりも ひとつは愉しく過ぎた 転勤族のお一人に、大阪に戻る人が居り、寂しくなる ヨーロッパの信用不安に…

錦 繍

連休のはざ間 山へ 今年は平年よりも暖かく、通常ならすでに落葉している葉も残り カエデやカラマツが最期の虹彩を放ち 赤・橙・黄 の落葉広葉樹と針葉常緑樹の鮮やかな織物が好天に映えておりました。 都内 大泉インターから2時間と少し 人の多く集まる場…

破 調

James Blake The Wilhelm Scream http://www.youtube.com/watch?... Limit To Your Love http://www.youtube.com/watch?... I Never Learnt to Share http://www.youtube.com/watch?... 「 いわゆる"歌モノ"のそれは彼自身が歌う歌で、歌はときにエフェクト…

流 謫 Ⅱ

. 透明に喜びのみを歌う弦 昏れつつ白し雨の中の薔薇 近藤 芳美 薔薇は薔薇の悲しみのため花となり 青き枝葉のかげに悩める 若山 牧水 薔薇ひらく顫へともなり生きゆかむ 亡き母のため韻律のため 濱田 到 塚本 邦雄 『 百華遊歴 』 より .

流 謫

... 立ち上がれ 繼起する時代の中に わが 肉體よ 打ち毀せ この思考する形態を 、、、(略) 風 吹き起こる… 生きねばならぬ 一面に 吹き立つ息吹は 本を開き また 本を閉ぢ P・ヴァレリー 「海邊の墓地」 より 鈴木信太郎譯 (不死の生命を望むな わが魂よ …

滋 味

ちきちきちき と 百舌鳥 の 高鳴き 焚きたての新米艶ごはんに めんたい や ぱりぱりの海苔 が 美味しい季節 ゆうぐれの澄んだ空気の中に ご近所から漂う夕餉支度の匂い、、 ごぼう を煮付ける匂いに誘われ 買い置きのれんこんを入れて 鶏肉の煮物をつくった…

貼 雑

颱風の後 わがやの薔薇に変色した わくらば が目立ちます 四季咲きの赤が 幾つか咲き始め 来月は 秋薔薇の到来です 暦通り 彼岸迄の暑さになるかどうか、、、 ----------------------- 新作自作監督作品映画の公開に合わせての各所でのヤン・シュバンクマイ…

燈 明

南紀方面に大きな被害をもたらした二百十日の野分が逝き 重陽の節句も間近 早くなった落日の窓を開ければ 季節の移ろいを告げる冷気がしのび込む 既に 山では 気の早いナナカマドが色づいていた 下界では いま少しの猶予がありそうだ * * * * * 燈火稍可親 …

惜 夏

オーシンツクツク シュクダイヤッタカヤッタカ シィ~ 既に この日記内容は今月の始め頃 おこさま方の夏休み工作のなにがしかヒントになれば、、と頭を掠めもしましたが このような 休みも終わりに差し迫ったアップとなり 果たして、、、宿題に間に合うかど…

狭 霧

雨後の度に秋が近づき 気の早い旅鳥は 南へ渡る仕度でも始めたか 昨日は、きょろんきょろん と鳴くツグミの仲間が大欅の中から聞こえました 森ガール・沼ガール(笑)・山ガール が、もて囃されるずいぶん前 おせじにも運動神経がいいとは言えない小学生の息…

薄 墨

7月にやってきた颱風からこちら 東京は過ごしやすい日々が続いて暑中見舞いも躊躇のありさま もしや このまま秋になることもあるまいに 昨日は仕事帰りに吉祥寺に立寄ると こ暗き森の井の頭公園から 蜩かなかなの呼び交わす声が... ------------------- 向…