もえぎの日録

関心空間(2016.10.31閉鎖)から移行 日記とキーワードが混在しています 移ろう日々のことなどを記します

日記

斜 光

いくたびも浮き沈みつつ流されて ひたに生きこし いづくにむかふ 駿河療養所 梅林加津 久しぶりに家族3人が揃い 彼岸の墓参のあとの帰り道 これまで立ち寄りたいと思いつつ、後回しにしていた東村山市に在る 多摩全生園内 国立ハンセン病資料館 に行く機会に…

埴 生

田舎の母校の旧い女子高では かならず校歌を唄う前に 「 埴生の宿 」 を唄いました <埴生の小屋> <埴生の宿> の意は 土の上にむしろを敷いて寝るような粗末な小屋。また、赤土を塗ってつくった小屋ともいう。みすぼらしい家。賤(しず)が伏屋(ふせや)。は…

貼 雑

最近はGFとばかり外出している息子が 親と出かけるのも これが最後かもね、、 などと、憎まれ口を言いながら運転を引き受けてくれたので 鎌倉~葉山へ 見たかった 野中ユリ展 神奈川県美鎌倉別館 これまで手にしたのは、装丁本がほとんどで 作品はわずかばか…

落 蝉

低気圧がひとつ逝けば 秋、、、 風が乾き 空には絹雲 落蝉を多数見かけるようになりました 肢腰を傷めて後 東京の田舎者がほぼ半年ぶりに都心に出て感じたことども、、 有名百貨店のぼりに中国語 アジア人向け路面銀行両替店の増加 これまで年配路上生活の方…

既 視

残暑お見舞い申し上げます 盆も終わり 一段落して東京に戻ると 陽の落ちた欅並木や草叢から 夕蝉に混じり 青松虫や蟋蟀の声も目立ちます 半袖ではまだ涼しかった6月から 一週間~十日ほど間を置いての度重なる帰省も板につき 高速の渋滞時間を避け、最短で…

晩 餐

およそ ブンガクの命題は 恋愛 犯罪 逡巡と後悔 だと、何方かが言っていたように思います 1945年 春浅き日に二十歳の誕生日を迎え 半年弱、国内兵役に就いた父が おおむね幸せに老いて この夏に、突如、降って湧いたように迫られた最終章の決断は 果たし…

抽 斗

鍋釜3つ スーツは3着 そこそこの普段着と 雨露しのげる茅屋とすこしの食べ物さえあれば 一人所帯は賄える 70代半ばを過ぎた著名な生活の先達女性が 老いに向き合う生活について何年か前にどこかで書いたものを読んだことがありました 実家の果てしなき断…

遠 街

すでに文月 夏至も過ぎ 七夕も間近になりました むかしむかしは八世紀、弓削道鏡が流されたこの片田舎に 医大併設の大学病院(画像中)ができたのは三十数年前 かつては松林に囲まれた種畜牧場があり牛糞臭が漂う記憶も 母の実家がここ下野薬師寺にあって、…

山 繭

関東のみが、このところ しとどの雨もよひ 台風の影響とはいえ 朝から降りやまない梅雨の雨に 紫陽花・テッセン・菖蒲など アントシアン系の花々が濡れて鮮やかに色目だちています 画像は Maggie Taylor 『The moth house. 2012』 祥さんが、某所にてご紹介…

蔦 蔓

蘂より褪せつつながき夕映え 担われて薔薇の入りゆく「夜」を信ず 濱田 到 エゴノキの花も散り、スイカズラやバンマツリの馨りが漂い ウツギ、キンシバイ、アジサイが梅雨空に顔を擡げてきました ツバメの声も聞こえ カラスは子育てに忙しそうですから要注意…

既 知

寿命が分かれば 人はずいぶん生き易くなるだろう とは、ここ数年、よく耳に入るようになった俚諺です 老いて体調に不安を抱くようになった母に その暗雲がもくもくと…老父からも愚痴混じりのTELが頻繁に入るようになった昨冬 最近の帰省は、老親の負担になら…

遍 歴

数年前の初めての開腹手術の折には 納得ゆくドクターに出会えるまでいくつかの病院を廻り 身もこころもたいそう疲れた記憶がありましたが 術前不安が払拭され、安心してお任せできた効果は大きかったと思います 今回は、歯科診療 加齢による劣化もあって、近…

粛 々

このところ めでたい報せがいくつか続き これも五月の仕業?、、親のようなここちで喜んでいる ひとりは、前職で机を並べていたA君の入籍 30代も終わりに入った彼は、脳梗塞で自宅療養の父親の面倒を一人で看つつ 植物状態で6年入院していた母親をこの3月に…

緑 蔭

風化する哀歡の遠き過程あり 灌木の絮(わた)のひかりつつ飛ぶ 葛原 妙子 開花しはじめた薔薇さうびの手入れに 不具の肢に鞭打ち、TVクルーも取材にくる大きな園芸店に赴く途すがら この丈高い垣根と塀に覆われた施設を初めて見た折 まるでどこぞの避暑地の…

風 街

風に揺られ 香り流るる 藤の垂花 モッコウバラも咲き出して いよいよ薔薇の季節の到来です 鉢の土替えをまたも少々怠り 3m近くに伸びた薄桃のロンサールは剪定して肥料のみに 昨年・一昨年と放置したERのゴールデンと、小ぶりの3鉢を可愛がった結果 なん…

過 程

新緑が目にうつくしい季節というのに 迎撃ミサイル地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が 首都圏では東京:市ヶ谷、埼玉:朝霞、千葉:習志野の自衛隊施設に配備されたとのこと 北の、豚まんじゅうによく似た太った人のひと声がかかると 上空にミサイルが通過…

隕 石

James Blake 'Retrograde' https://www.youtube.com/watch?... まもなく 新譜 Overgrown が発売予定 2月にPVが発表され 6月に東京・名古屋・大阪で公演決定 東京公演は追加も出ているようです 前回2011年の公演は、ライヴはいまひとつ?の盛り上がりだっ…

管 見

すでに 欅 の にこげなるさみどりの葉 風にゆれ 櫻吹雪の舞う前に 新緑の季節 も 駆け足でやってくるようす 『 レッドアローとスターハウス 』 原 武史 新潮社 初版 2012.9.30 久しぶりに面白い本(画像)を読みました 昨秋の新聞書評に掲載されたこの本の照…

浮 橋

櫻 白木蓮 木蓮 連翹 馬酔木 椿 木瓜 雪柳 ミモザ 辛夷 、、、 オオイヌノフグリ・セイヨウタンポポ・ホトケノザ・ナズナ 地に咲く草草も陽を浴びて上を向き 花々がいっせいに咲き揃うすがたが見られる今年の春の不思議 近くの大学の運動場には新入生とおぼ…

春 嵐

Gertrud ゲルトルード 、、、、、ではありませんことよ このところじゃぶじゃぶ使っている花粉用市販目薬は3本目 先週の異常な暖かさでご近所のミモザのぽんぽん花房も黄色く枝垂れ 震災の日は ミモザの花が告げる 終わりなき復興の春のはじまり お正月開け…

春 隣

春待ちの日々 行きたいと思っていた いいタイミングで招待券をいただき 出久根育さんの展覧会に 既に店じまいしたパロル舎の絵本は たのしい形と色づかいの妙に魅入り、記憶に残っておりました 今回の展示では、そのテンペラの原画の他にも 2002年からプ…

韜 晦

豆まき節句の翌朝から 暦の上では 強引な春となり 本番の寒さは 如月のこの月であるというのに ひかりの時間の長さに騙される、、 白壺に投げ入れた寒櫻が ながらく咲き ついえると 隠れていた新芽から若緑の葉が開きました 暮から 久しぶりの友人知人に会う…

揺 籃

松が開け 寒に入り 寒さはこれからが本番というのに 光の春のショウウィンドウは、パステル色となりました ちまたはバーゲンシーズン 欲しいものは多々あれど人混みに出れば食傷なる常々 物欲を制する大雪でもネットショッピングなら容易ですから困りもの さ…

仕 度

むろん お正月の仕度です 今年は休暇も長く、食事の仕度がたいへん、、、という主婦や主夫の声も聞こえます 先日食したさっぱりした、しかもひとことでは言い表せない 複雑な香辛料の馨りとお味の上品な中華を思い出し 素人にできるかぎりのいろいろを試した…

橙 花

年の瀬の仕事は26日に終了 今年の年忘れ酒宴はいつもの吉祥寺ではなく西新宿のホテルとなり ひさびさに美味しいごはんとお酒のコースをご馳走になりました 向かいのホテルは、地震の10日前に愚息の高校が賑やかな謝恩会をしたHR 一本道のその向こうに…

静 観

冷たい北風が吹き 街路樹がしだいに裸樹になりつつあるこの頃 今日は ましろき富士山の上に笠雲 月末の慌ただしさも過ぎ 月初は、取引先の、ごやーるおぢさん(ブランド&車好き)や、なので男さん(意味も無く なので を連発する)がやってこないので、仕事…

雨 域

都心の街路樹もすっかり紅葉になりました 先日は 晴れて陽が射す南の窓に 射光に光る広重の絵のごとき雨脚が急に見えたと思いきや 東に見える建物・地面や樹木はいっこうに濡れている様子もなく おやおや なんと 私の居たその場所が雨の境目 右 は 雨 左 は …

借 景

うすく汚れの染み付いたコンクリートアスベスト館はすべて取り壊され これといった趣きもかんぢられない新建材の匂う学舎 、、、こんな箱物へのいかがわしき投資まがいの学費を 卒業までに平均でも数百万以上納めなさいという 学部・学科が違えば、上記の4…

箱 庭

先週末には 雪被りの富士山が すっきり蒼穹に映えた秋 わが箱庭のテッセンも夏の暑さにやられて駄目になったかと諦めかけていたら 節節からまた新芽が吹き出し若葉が開き 12月でもよく咲いた昨年を期待して忘れていた追肥を施しました このところの週末は …

清 漣

灯かげうすれ はや誰のものでもなき空間へ 瞳孔(ひとみ)はひらき ひろがりゆけり 濱 田 到 まだ肌寒い今年の春 小山実稚恵さんのリサイタルに赴いた折 珍しく姉から早々に誘われた展覧会 「 今年はドビュッシー生誕150年で、コンサートや展覧会企画もた…