愁 眉
かれのクールエイドときたら
いわば理想的な濃度の影であるにすぎなかった。
かれがつくるクールエイドリアリテイはかれひとりのものだった。
それは黙示の世界であった。
「クールエイド中毒者(ワイノ)」『アメリカの鱒釣り』 より
リチャード・ブローディガン/藤本和子譯
1975年1月20日初版 1995年7月20日32刷 晶文社
この本の初版が上梓された頃、地方都市の中学生はアンドレ・ジイドに裏切られつつも
もつれる指でバッハインベンションの練習をしながら
キング・クリムゾンやレッド・ツェッペリンを爆音で聴いていた、、
1970年代のアメリカと言えば、ベトナムの影が色濃く覆い
60年代の子どもにとって後に知ることとなった
あの THE DOORS の THE END が鳴り響く
錯乱狂気の F・コッポラ『地獄の黙示録』に繋がってゆく死の憂鬱が隣接する時代、、
しかしながら 藤本和子さんという方は 軽妙洒脱な日本語を飄々と遣い、一見して諧謔とも想われる独特の世界をかたちづくる、、、
これは、ブローディガン なのか 藤本和子 なのか よくわからない
http://www.kanshin.com/diary/2080516
この2月 GOLDさんの日記 と 雑誌「考える人」 の示唆により 触れることとなったブローディガンのことばたちはたいへん興味深いものでした。
文体 は だいじです
喰わず嫌いで遠くにあった アメリカのものがたり
トマス・ピンチョンは相変わらず遠~くに在りますが、新潮社が頑張っているようすですし 新訳なら私でも、とりかかれるでしょうか?