時 澱
すこしも地を冷まさぬ驟雨に蒸しあげられ
ひとり 平日白昼の高速に 乗れば
一瞬 視界に映る車が 一台も無くなる時空の狭間に滑り込む
この ゆるい曲線の暗がり は 何処へ連なる
次ぎの瞬間 小癪なBMが左から右車線に急発進で追い抜いてゆき
我にかえって 再びアクセルを踏み込んだ
グールドのイギリス組曲のCDを忘れたので
ツィメルマンのバラードを爆音で聴きながらの時速120キロの爽快
週末 父の慶事に、大阪から親類数人がやってきたので 私のみ一足早く帰省
この従姉妹・叔母と会うのは何年ぶりだろう? 子ども時分の記憶ばかり、、
話の種に古いアルバムを開けば 昭和40年へトリップし、奈良ドリームランドで撮影したカラー写真に話の花が咲く
従姉妹は、病みあがりの叔母を伴って、これが最期の親孝行との小旅行のようす
70代後半の叔母は、その昔は 母方姉妹中 一番の美人で
今も もの静かで淑やかで すらりと上品な佇まいあるものの 病から来る時折の豹変は
虚言や珍行動 鷲掴みで食べ物を口に運んだり、、と 眼が離せないらしい
「わたしは、姿かたちや性格も、おとうちゃんに似てしもうたん、、」と、明るく気さくな従姉妹(娘)に救われているだろう叔母
この叔母の姉である母には これが今生の別れになるやもしれず 老姉妹の再会は慌しく過ぎた
会費制祝事の出席者は300人弱 事務方全般を引き受けてくださった方々には頭が上がらない
着宴席のうえ、振舞うことが好きな父のやり方は とんでも な持ち出しで
選挙前の政治色に利用される事だけはご勘弁願い それだけは回避できたのは幸いだが
さほど喜んでもいないような父の顔色を垣間見 一番おいしい思いをしている人の顔を見てしまうと
なんという世の中のしくみの胡散臭さ 食傷気味になる、、
、、すべて祝事の一字に収束しようとする あまりおりこうでない人 天誅が下るぜよ!、、、
嗚呼 しかし この人塵の中で聞いた噂の中の唯一の救いは、
70年代半ば 私達姉妹に LED ZEPP を吹き込んでのち、通訳になったと洩れ聞いた兄さまが
今 プロテスタントの牧師となり、地震津波災害で荒れ果てたアジア異国の地で救援活動3年目だという
やはり 今も彼は彼であり続け、、、馬鹿なことをしている場合じゃない と自戒した。
はてさて
ひさしぶりに着た 絽の訪問着と帯は義母の遺品でありました。
着道楽だった義母の箪笥には、しつけのついたままの着物がまだまだ眠っておるのです。
丈はなんとかごまかして、裄出しは呉服屋さんにお願いし、帯揚げ帯締め、襦袢のみが自前
呉服屋さんの店先には、涼しげな文様の小千谷縮み・小千谷麻襦袢が飾られ
盛夏は 麻襦袢に限る と、つくづく思いマシタ。。。。