花 曇
コートを抱えて歩く人も目に付いた。
卒業式後の団体待ち合わせか
新人研修の移動か
若いひとたちの かたまり が目に付く。
ゆうぐれ というのに気温が18℃
櫻も随分ほころびはじめ
連翹・花海棠・花桃・寒櫻の木々が色めきだつ
四方田犬彦 「先生とわたし」
たいへん興味深く面白く読んだ。
年若き時代の十数年に多大に影響を与えられた出逢ってしまった先達 由良君美
詳細な資料収集は力作
死せどもまだわだかまりのぬぐえない軛を払拭すべく
この人にこの自己療法とでもいえるような長文を書かせた理由は
ともすると現職のM学院大学において
現在の学生たちと抱えている著者自身の個人的な 何事か に由るものか
ハイデガーとアーレントの引用などは、そのような言い訳じみたことがらを妄想させる(笑)
由良先生の語学力の指摘や、乱れた時期の指摘も
意外なほど素直な告白と生き証人の発言により説得力があった。
死んだ人間を、追体験に近い時間を得たことでなんとかもう一度呼び寄せようとする試み
長い時間のわだかまりはこれにて果たして本当にぬぐえたのだろうか
古書店廻りが愉しみだった学生時代
「パイディア」「カイエ」「牧神」ダニエル・シュミットの映画、マリオ・プラーツ
裏方編集者さんたちのことなど興味深い情報満載でそちらが十分に楽しめる。
この時代の英文の人で、W・ペイタアへの言及が無かったのがちょっと不思議。
四方田犬彦の味は、情報の渦巻き力の面白さに尽きるだろうか
由良君美なら四方田犬彦 という図式を定着させたいようなもくろみもありそう、、
『ハイスクール1968』に続く随想小説風
そのうち加筆され上梓されるだろう。