数日前
初めて降り立った私鉄の駅の商店街を歩いていると
古書店の店先に『リラダン全集』『齋藤磯雄著作集』がちらり。
おいで と よそびとには聞こえぬ声に導かれ、、店内へ。
かつて見慣れた興味深い人文科学書の数々
買いそびれた本がうずたかく積まれている。
わたしのエリキサよ
そんな科白を残して金星(緑のヴェヌス)へ逝った知人の書棚を想い出す。
君のてのひらのエリキサは、今どれほどの硬度で耀きはじめているだろう。
「夜のガスパールという人をご存知ですか」
「そんな奴に何の御用がおありなのじゃ?」
「借りた本を返そうと思うのです」 夜のガスパール ルイ・ベルトラン より