燕 尾
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つばくらめ
さみどりの風を
はこびけり
時折 エレベーターでご一緒したり
集合住宅の郵便受けのあるホールで何度か挨拶を交わすうちに、数年前から親しくなったKさん・Nさんは共に年長のお姉さま方
殊にKさんは、母ほどの年齢の未亡人で
一昨年、ご主人を亡くされた後は障害を持つ独身の息子さんと二人暮らしと聞いている。物腰柔らかくいつもにこやかな笑みで挨拶され、何時お会いしてもきちんとした服装で、ごみ出しや朝8時前に息子さんを送り出す折々にも1Fまで降り手をふって見送るのが日常
私ときたら、ゴミ出しはスッピンにスウェット程度の服装で 「誰にも会いませんように!」と、毎回祈りながらササッと出すのが常で、誰よりもKさんにお会いすると赤面すると同時に、母に叱られているような気持ちになって襟を正す。
先日は、私の留守中に春休みの息子の下へ、おすそ分けの限定お菓子とたくさんのお土産を頂いた。
「遠方に嫁いだ娘に渡すような気軽な気持ち」 と仰って、おすそ分けのやり取りはもう2年以上続いている。留守中に頂いたのは始めてだったので、翌日、一筆箋にて簡単なお礼状を新聞受けに入れて置いたら、早々に達筆な文面で丁寧なお手紙を頂いた。やはり流石な対応で、Kさんの温かなこころ遣いが端々に見て取れる。
実母も手紙好きで、始終礼状や手紙を書いている様子は見ているが
年齢とともに視力が衰えたり文字が震えたりと最近は電話に頼っている様子
その電話も、聴力の衰えとともに一方的になりつつある
メールや電話で慌しく仕事をする日常に
季節の徴を折り込んだこころ温まる封書をてのひらに頂くと
なんとも嬉しい
先日も旧友から素敵な便りが届いてこころほころんだ
紙を選び 封筒を選び ペンを選び 切手を選び
てのひらへの贈り物
手紙 は やっぱりいいですね。