暗 渠
婚姻の式は、およそ呼ばれて伺うものと相場が決まっているが
告別の式は、呼ばれなくとも耳にすれば
こころあらば伺うもの、、、。
親戚縁者となると
その辺りの線引きにやや難しいものがあると想う今日この頃
遠方ならあらかじめの連絡で不義理を詫び、日を改めることもできよう
先週、父のすぐ下の叔父が亡くなる
数年前から体調を崩して自宅療養中
紅葉を観に温泉地の別宅へ夫婦で赴き、ひとり散歩中に足を滑らせて用水路に転落
水死という検死結果の事故死だった。
戦中の軍国教育を疑わなかった人で、親に内緒で特攻隊志願
運良く敗戦を迎えたのに、出征できずに大泣きした話は何度も聞いた。
戦後の高度経済成長期は、企業戦士として体制を疑うことを知らず
地位と名誉を得、退職後も株で財を成し、悠々自適に暮していた人。
悪い人ではなかったが、法事等で顔を合わせる度に、説教口調が鼻につき
近くに住んでいながら他の叔父たちに比べてかなり遠い存在ではあった。
死因が影響したのか、近しい人のみの参列
他の従兄弟たちの姿もなく
小雨のぱらつく曇天の寒い日曜日、静かでひっそりとした告別式
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5年前に義父を看取った時
終末医療の病院であったこともあるのだろう
簡単な死化粧や経帷子まで、看護師さんが手際よく仕度して
あらかじめ義父が入院中に自ら連絡をしていた葬儀社にお願いして
全てをおまかせしたことを思い出す。
高額の出費にもかかわらず、ばたばたと即決で取り決められたもろもろの事がら。
自分の事であれば
必ずやってくるわかりきっていることなのだから
虚礼を廃し、儀式もいらず、親しかった人のみの会食などで終らせ 等々
周囲や残された人に手をかけぬよう、相続関係の事柄も含めて
その指示詳細をノートに書き付けておこう と
親族、知人の葬儀に参列する度に思いつつ
、、、、後回しになっている。