破 顔
神無月の終わり ゆき過ぎる嵐の晩
風に弄られるだろう丈高い薔薇の蕾を斬り落とし
部屋に活ければ
堅くとぢられたように見えたそれは
翌朝の光を得 芳香とともにゆるやかにほころびはじめた。
*
なにやらあわただしく過ぎたこの10月
月初めには
軽い脳梗塞で意識を失い仕事場から救急搬送された人を夜間にお迎え
たてづづけに親類中でも一番元気だった義叔母が脳梗塞で急遽
独立した先輩夫妻が多額の負債を抱えて事務所を閉じたというし
家庭も仕事も行き詰った友人が生きるのが辛いと連絡してくる、、、
それでも明るい話題は、再婚した知人に子どもができたという知らせ
*
総合小説よりも奇なる滑稽で波乱に満ちた現実の時間からくる悲喜こもごもは
私ほどの年齢になるとそこかしこに溢れ
わが身に降りかかる事柄には 一時はうろたえるものの
時が過ぎれば一笑となることも多い
すべて世のならい と、高みの見物はできないが
辛い時間をすごしている人の話を聞くことくらいはできるかもしれない
話をしながら混乱した認識を整理することもできるだろう
夫を支える歳上女房 先輩の前向きな頑張りようには頭がさがった。
画像は大安売りの紅アズマで作ったスイートポテト
発酵バターを使ったら、ややしつこいお味になりました。