青 瞼
うすくとぢられたちいさなりょうのふくらみには
うす緑の静脈がいつも透けて見えていた
1学年 300人は居た女子高の中でも
ひときは眼を惹いた切れ長の眼の女の子
奇妙に病的な色白の蝋のような肌に
この人にほんとうに血流はあるのだろうか、といぶかしんだ
記憶に焼きついた美少女の面影を彷彿とさせる若い女性が眼の前を歩いていた。
膝上数センチの黒いカシュクールドレスから覗く手足の生白さ
下品さはない
絹のようなロングヘア
エルメスケリーには書類のようなものが一杯
足早に歩く姿はうつくしい
雑踏の交差点で追い抜いて振り向くと
いつのまにやら男連れ
ものの2分眼を離した隙
ピンストライプのチャコールグレーのスーツにやや派手目のシャツを着たイタリア男が
しきりに話かけ ケリーバッグを持ってやり
交差点の中ほどでは手を繋ぎ 渡り終えた処で接吻
なるほどイタリア男
絵に描いたようなカップルゆえに納得した。