夏 艸
南国クマゼミの声も例年のごと聞こえるようになった東京木立
残暑は続くよ いつまでも
盆前 春彼岸以来 参っていなかったあちらの墓前に
直系血族の家人も息子も、仕事だバイトだと理由をつけて行かないというので
わたしひとりで半日仕事の墓掃除も兼ねたお参りでした
墓守のおかげか、周囲はこぎれいに掃除されてはいるものの
敷地内の小石の間からは、スベリヒユのような夏草があちこちと地を這うように四方に伸び
炎天の草引きには日焼け防止の長手袋と帽子が役立ちました
盆の施餓鬼料を納めに寺務所にゆくと
体つきが小さくなった住職は、病もあってか以前よりもずいぶん穏やかな相貌に
世の中の流れも変わり 無縁仏となる墓も多いのだとか
この墓ですら あと何代続くやら わかりません、、、
胸の痞えの墓参りを済ませ 気持ちも一新
さて 夏休み突入前の金曜夕刻 仕事帰りになんとかバーン・ジョーンズ展にすべり込み
有楽町駅に降りたのは18:30過ぎです
慌ただしいスケジュールの時にはやはり何事か起きるものですね、、、
丸の内 三菱村に在る三菱一号館美術館は
建物自体はよい雰囲気ですが、果たして絵画鑑賞に向いているところかどうか というのが、正直な感想
創建当初が複合事務所雑居ビルだけあって小部屋が多く通路が狭く木製床に響く足音が煩い
夕刻の空いている時間帯でもあの調子では、混雑時では思いやられます
お目当ての 『 眠り姫 』 (連作 <いばら姫>のうち)は、一室展示で落ち着いて観られる環境はgood
しなやかな流れを感じさせる複数の人物配置の構図は、彼の描く女性群像の真骨頂
殊に 眠り姫では、 腕 ・足 のラインが見事で
娘がモデルだという綾瀬はるか似の眠り姫の 肩のマチエール には
何度も塗り重ねた痕跡の厚みがあり、時間をかけた作品だということがうかがえました
背景となる野茨の、ていねいな細部描写にも長年に渡り執着したテーマ性を感じました
その他 郡山市美が購入した 『 フローラ 』 は、色あせずに相変わらずうつくしく石化し
ケルムスコットプレスの展示は、大学図書館や稀覯本展示会でも観ていることもあり?後ろ髪引かれながらそそくさと退場
それもこれも 携帯着信がぶるぶると何度も震える予感的中
メールを見れば、家人9度を超える高熱ダウンの報せ、、、
2012年の夏休みの幕開けは、看病に始まることとなりました。