もえぎの日録

関心空間(2016.10.31閉鎖)から移行 日記とキーワードが混在しています 移ろう日々のことなどを記します

午 睡

Hypnerotomachia  Poliphili  

『 ヒュプネロトマキア ・ ポリフィリ 』 ( 邦訳 『 ポリフィルス狂恋夢 』 )  

15世紀イタリア:ドミニコ僧フランチェスコ・コロンナの書いた奇妙な夢物語

1499年ヴェネチアの印刷業者のもとで刊行

英吉利薔薇(画像は最盛期のもの)は、しだいに終わりをむかえ

テッセンや日本が原産のハイドランギア紫陽花が色目立ちてきた花の刻

私はまだまだ、バーン・ジョーンズの予習に専心しつつ

神保町田村にて、随分前に古書購入した『バーン・ジョーンズの芸術』1997年晶文社

積読書棚からようやっと取り出し 遅々と頁を捲っていると、、、

おやまぁ~ここにも 狂恋夢 が!

1860年代初頭、ウィリアム・モリスが書いた叙事的物語詩 『地上楽園』 の挿絵を手がけていたバーン・ジョーンズらは、モリスがその長編詩の底本とした 『ポリフィルス狂恋夢』 等を手にしていたとか?

残念ながらモリスの『地上楽園』挿絵は版画技術不足のために頓挫し、挿絵無しの出版となったとあり

筆者ビル・ウォーターズとマーティン・ハリスンは

ジョーンズ作品全体における『地上楽園』挿絵スケッチ群の重要性を述べ

「クピドとプシュケ」「ピグマリオン」「ウエヌスの丘」「オルフェウスの物語」他

物語連作の作品群の多くが、このスケッチから引かれていることを言及

ジョーンズが、どれほど『狂恋夢』の内容や挿絵に影響されたかは私の想像の彼方ではありますが

手持ちのジョーンズ図版を眺めながら、

上記web検索で中世の偉功書物が、居ながらにしてサクっと見られる幸運な時代に生きていることに感謝し

狂恋夢物語のプロットからジョーンズが得たモチーフや挿画を比較などする裡に、個人的嗜好が大いにくすぐられました

澁澤龍彦 『胡桃の中の世界』1988年白水社 の解説では

澁龍センセイが手にする『ポリフィルの夢』は、1546年パリ・ジャン・ケルヴェール書店上梓本の完全復刻版

1963年フランス書籍クラブから刊行された本だということ

「イタリア語版の木版挿絵よりもさらに洗練されたジャン・グージョン筆といわれる木版挿絵が魅力」と始めに仰るように

古代の百科事典のごときこの書物は、中世人にとっての美的鑑賞眼と現代と、違いはあるものの

その時間の隔りを無にする魅力があり、内容は

『パンタグリュエル 第五の書』 は、ほとんど剽窃

シャルル・ノディエ、ネルヴァル

ビアズリー、トマス・グリフィス・ウェインライト、ワイルド

ダリ、、、、らが翻案

C・G・ユング『心理学と錬金術』中には、 狂恋夢 の挿絵の引用もあるらしく

永年にわたり、物語の紡ぎ手たちや画家を魅了し続けた 狂恋夢 解説を、ユングを引いて面白く纏めています

というわけで

なかなか バーン・ジョーンズ 『 いばら姫 』 連作 に戻れなくなるいつもの悪癖ですが

ロセッティ師匠のフォルムの影から離れ、ジョーンズらしさの出てくる 眠り の表現の端尾も

こんなところから解けるのか、、、と思った次第であります

聞くところによれば、ネット検索するとザクザクこの中世古文書画像が見られたり、youtubeにだって出てくる不思議は、

学園もの と、酷評されている小説 THE RULE OF FOUR フランチェスコの暗号によるものが大きいようで

ひょうたんからこま というのは、こうしたことをいうのでしょうね(汗)。

午 睡の画像

午 睡の画像

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