流 謫
...
立ち上がれ 繼起する時代の中に
わが 肉體よ 打ち毀せ この思考する形態を 、、、(略)
風 吹き起こる… 生きねばならぬ 一面に
吹き立つ息吹は 本を開き また 本を閉ぢ
(不死の生命を望むな わが魂よ 汝の可能なる分野を汲みつくせ)
鷲巣繁男 『狂気と竪琴』 より ピンダロスの祝捷歌との止揚をめぐる恩寵の記述から
※ ※ ※
ひさかたぶりの 薔薇園 は
夜半からの雨滴を纏った秋の薔薇
既に盛りは過ぎてはいるが
ほの暗き雨がさいわひの 神無月の寂寞
絶え間なく上がる噴水の音
間遠の鳴蝉 蛙の囁き 小鳥の囀り が 冴え渡る 馨りの園 は
ダマスク ブルー フルーティー スパイシー
光に向かい 丈高く咲き誇る大輪の花邑は
ハイブリッドの交配の妙も然ることながら
美丈夫で堅牢な この植物本来の野性味を引き出してゐる
十月の雨
流謫の薔薇たち、、
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