狭 霧
雨後の度に秋が近づき
気の早い旅鳥は 南へ渡る仕度でも始めたか
昨日は、きょろんきょろん と鳴くツグミの仲間が大欅の中から聞こえました
森ガール・沼ガール(笑)・山ガール が、もて囃されるずいぶん前
おせじにも運動神経がいいとは言えない小学生の息子に、持久力だけは少しあるようでしたので
トレッキングや登山ならいけるかも、、と 簡単なストックとシューズを家族で揃えました。
標高2578mのこの山は、学生時代に地元国立大学の山野草研究会に属した友に誘われ
お花畑のトレッキングに同行したのが最初
標高:2250mに位置する深山の池に映し出された、斜面に群生するシラネアオイの薄薔薇色の群落に言葉を失い
流れる霧が池辺の絹糸草と夢幻的な絵画となったのは もう30年近く前のこと
長らく脳裡に残ることとなりました。
歩行距離:約11キロ 標高差850m 歩行時間:5時間30分(休憩込み)
初心者健脚向きの日帰りトレッキングコースとありますが
今回は豪雨の後でもあり、今の私の体力ではちときついかな、、、
一週間前からの雨予報に半ば志気は失せていたのですが
連日、遅くまで観てしまった BS長編6日連続映画 『人間の條件』は
暗く澱むモノクロ映像と、戦時下の人間の張り詰めた緊張感が重い科白とともにこころに刺さり
どんよりした気分の不眠をもたらして、夜半からの雨の音で 今回の登山は暗黙の中止となりました。
数年前の前々回は、6月の残雪と私の軽い高山病で山頂のガレ場を前に途中の池で引き返し
前回は、酷い貧血の私や、3度も肺に穴を開けた人のおかげでやはり途中の池で頓挫
いちばん元気で体力も附いた息子は 「 こんどこそ 独りでも頂上制覇する 」 と、いき込んでいたのですが、、、
準備もいいかげんで、山を甘くみている者(馬鹿者とも言う)ですから薬になったか否か
東京でも肌寒い雨の早朝、山のトンネルをひとつ抜けると雨は霧に変わり
冬季通行止めとなる県境のトンネルを抜け、隣県の登山口の茶屋に至ると陽が顔を出しました
針葉樹の清清しい香りを嗅ぎ、とりあえずトレッキングシューズに履き替えて附近の散策に出ました
ゼニトリゼニトリのききなし鳥、メボソムシクイの声が聞こえます
国道沿いに広がる大きな沼では、ルアーフィッシングの方々が糸を垂れていましたが
数分も経たぬうちに雨粒が落ちてきて濃霧が覆い水墨画の様相へ
気温は13℃前後でしょうか、、、軽装の息子は寒さで震えて退散
峠の茶屋でヤマメの塩焼きを頬張り一息つきました。
本日ネットで確認すると、先週、登山道では土砂崩れが発生
3度目となった今回は悪天候で中止となりましたが
次回は、息子に先導されて荷物も持ってもらい、らくちんトレッキングを期待しましょう。
画像下 古臭さを感じさせるトレッキングシューズ
泥落としクリーニングをしなければ。