薄 墨
7月にやってきた颱風からこちら
東京は過ごしやすい日々が続いて暑中見舞いも躊躇のありさま
もしや このまま秋になることもあるまいに
昨日は仕事帰りに吉祥寺に立寄ると
こ暗き森の井の頭公園から 蜩かなかなの呼び交わす声が...
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向田ドラマが始まり番宣著しいNHK
原作は学生時代に、友人主催の合評会に引っ張り込まれたおかげで
直木賞受賞作一冊のみは手にしたものの、その内容はほぼ健忘
ただ、季節の変わり目やお正月恒例のスペシャル番組のおかげで
映像の印象的な場面は長らく記憶に残っています
加藤治子さんの ちょっとほおけた母は味あるものでした
原作や既存の放映作品についてはanoanoセンセイのこちらが詳しく
とうに忘れていた映像を、バブル時代の女優さんの口紅や髪型や肩パッドの入った服装を観ながら想い出します
小石川や池上あたりが舞台の戦後のアッパーミドルの核家族では
御茶ノ水(国立御茶ノ水女子大附属小・中・高)に通う娘が必ず登場し
それは向田さんご本人の分身(彼女は確か実践女子の出身)でもあることでしょうが、この娘が成長すると 川上弘美さんになるのでは、、と、私は密かに思いながら観ています
川上さんは、東京では女子御三家の中でもお嬢系と言われる雙葉学園(美智子皇后&雅子さまもここの出身)出身で、お茶(の水女子大学)へ上がったという辺りや
作品に現われる女性の情念が蠱惑的映像詩の文章で描かれる点など、向田原作の映像作品と川上作品の共通点を感じるのです
川上さんは、年齢的にも向田原作やその映像作品に目を通しているのかもしれません
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ドラマとは別にここでも向田さんが登場して目を惹きました
みずようかん といえば、かつての関心空間では時間さんが都内和菓子舗指南で愉しませてくださり
上野:藝大裏の桃林堂の みずようかんをキーワードにされていました
私も20代の頃、あの辺りに仕事で通った折にはよく立ち寄り、小ぶりで瀟洒な店の風情も気に入りでした
向田さんのみずようかん は どうやら赤坂界隈のお店の品のようで
買って帰ったら なるべく早く水っぽくならないうちに
角がきっちり整っていること 根来の茶托 に 白磁の蕎麦猪口 で 緑茶
お気に入り皿は土物でやや厚手 が、定番だった由、、、 う~む 私の感覚とは違いました、、、、、
白の蕎麦猪口は色合わせはいいにしても
根来といえば、温かみのある艶消しの朱塗りで 冬の印象ですし
小皿も厚みがある益子風で、あまり涼やかではない、、、
季節を告げるように和菓子屋に立つのぼりの文字
みずようかん
という 筆字の 薄墨 は このためにこそある、、うんぬん
なるほど このくだりには しごく納得いたしました、、。
( うすずみ は 櫻 も思い出しますが)
◎画像は吉祥寺の百貨店で店員さんに勧められて購入 大津のみずようかん
◎番組の手作りみずようかんは、葛を使っていましたが
私は亡き祖母の教えで寒天を使います。
お盆も近く、手作りみずようかんでも作ってみましょうか
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