白 夜
大寒 だというのに 白夜とは季節外れですが
先日の新聞評に
吉田秀和『永遠の故郷』全4巻完結にあたり氏のコメントが掲載されていました。雑誌「すばる」に掲載された文章を集大成した4巻のひとつ「夜」だけは3年前に購入して手元にあります。
最愛の奥様に先立たれた苦しみから脱するのを後押しした編集者の方々が居り、上梓された本だということは何かで読みました。
昨年2010年ユリイカ4月号「現代ピアニスト列伝」では、吉田秀和「ポゴレリッチのショパン」と題された文章が掲載され、同様に人生の良きパートナーであり師でもあった最愛の人を失ったポゴレリッチへの共感でもあるのか、、、と興味深く手に取りました。
しかしこちらの内容は1981年『レコード芸術』掲載文の転載であり
パートナーを失った喪失への共有の想いにあたるものは時期としてむろん皆無でしたが、当時から特異なショパンを弾く青年ポゴレリッチをはなから忌避するのではなく、吉田氏が実に余裕あるまなざしでこのピアニストを迎え入れる文章で、平明で率直な文体からそのお人柄を垣間見たような気持ちになりました。
ちょうど昨年、ポゴレリッチは来日コンサートで物議を醸していた事もあり、転載した編集者の意図も伺えましたが、、。
私の音楽へのアプローチが、素人の極めて個人的な嗜好から発して
ことばによる文学的限界を脱し得ない解釈に酔っているだけの事かもしれません。
しかし『永遠の故郷』は、吉田氏の、失った人々への哀惜とこれまで生きた時間の中の文学と音楽を交えたあたたかなことばの贈りものでもあります。
哀惜 といえば、川本三郎さんも『いまも君を想う』を出され、ちょっと読んでみたい本
昨年亡くなられた三浦哲郎さんの『白夜を旅する人々』も
長年読んでみたいと思いつつおそれをなして手をつけていない本
この方が生ききった事には重い意味があることでしょう、、、
葬儀には秋山駿さんの弔辞が代読されたと知り
どんなものであったのかとても興味深く思っています。
まだwebにはアップされていないようですが
今朝の朝日新聞 「孤族の国」上野千鶴子:男よ率直に弱さを認めよう
http://www.asahi.com/special/kozoku/
男・女 とこだわらずとも、なかなかおもしろい文章でした。
画像は元旦から咲いた早咲きの梅