もえぎの日録

関心空間(2016.10.31閉鎖)から移行 日記とキーワードが混在しています 移ろう日々のことなどを記します

羈 旅

これは私が少女時代に読んでこころ痛み、息子の小学校の本読み活動でも取り上げたお話

百枚のきものエリノア・エスティーズ石井 桃子 (翻訳)現在『百枚のドレス』と改訂

欧米に根強く残るポーランド人への社会的差別を根底に、移民の子であるワンダを取り巻く少女たちのこころの動きを丁寧に描いた物語。いじめの問題も孕んでいる。小学校中高学年向き。 

 

そういえば、トーマス・マンの小説が原作のルキノ・ヴィスコンティ脚本監督 

映画『ヴェニスに死す(Der Tod in Venedig)』に登場するタヂオ少年

ポーランドからやって来た貴族という設定でした。

GUSTAV MAHLER Symph No.5 Mouvement 4  Adagietto ♪5番が脳髄に刷り込まれた20世紀の名作

 

このポーランドの符牒が示すものを、ぼんやりと考えていた今日この頃。

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今年は、ショパン生誕200年 は周知のとおり

忘れないでね ロベルト・シューマン だってほぼ同じ歳の 生誕200年

加えて グスタフ・マーラーも 生誕150年 なのです、、

と、いうことで 記念CDも次々と発売され関連コンサートも賑々しい様子です。

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 オークション新参者の私が3度目の挑戦でようやくチケット落札

座席は初めてのバックステージで、低音部の反響にやや慣れないものはありましたが、前席2列目中央かぶりつきで、ツアー最終日のアークホール:ツィメルマンショパンリサイタルに駆け込むことができました。

 

ノクターン第5番 嬰ヘ長調 Op.15-2

ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」 

スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31

ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58 

舟歌 嬰ヘ長調 Op.60 

(Aプログラム) アンコール無し  

 

今回の日本ツアーは15ヶ所

当初、ママチャリで行ける初日の武蔵野市民文化会館に行ければと思っていたものの

実家の行事とバッティングで×。お財布と相談しながら諦めモードに入っておりましたが青猫さんのツィメルマン追っかけblogを読みつつ、たまるさんのキーワードにも触れて、むらむらむら~(笑) これは何としても行かねばなるまい…。

 

上記 お二人の文章に触れていただければ、私が語る隙は既に無きに等しく

ここで あえて言及させていただければ、

 

ツィメルマンの ショパン生誕200年への対峙 は

ツィメルマン自身が生を受けたその地がポーランドであったという因縁から始まっていると強く感じたことです。

 「19世紀の頃、ある国には領土というものがなく、存在する権利すら奪われていた。

 そのような時代に、ショパンポーランド舞曲のリズムにもとづいてマズルカを書くことはなにを意味していたのか。

 つまりそれは、ひとつの国が存続する権利をもち得るようなアイデンティにほかならなかったのです。

 そして、私にとってのショパンは、自分の人生をずっと伴走して、ともに歩んできてくれた音楽でもあります。」 ツィメルマン談

 

学生時代に、私はある人から フォーレを聴くならフランス人の棒振りなら間違いない と、言われたことがありました。 

ショパンの音楽も同様、ポーランドという国の来歴を肌で感じ取り、時を過ごしてきた人にしかわかり得ない 御し難い何ものか がきっとあることでしょう。

それは ショパンの旋律の核心的なもの に違いない 何ものか なのですが

その言葉にはならないものを、演奏という解釈の時間 を通じて真摯に語り得る人が ピアニスト:ツィメルマンショパン生誕200年への対峙なのかと思いました。

 

 「 私はしばらくショパンをお休みしようと思っているのです。

  日本の聴衆の方々に、私の弾く2つのソナタをお聴きいただけるのは

  数ある機会の最後のひとつになるかも知れない。

  もう一度、日本でこれを演奏することになるかどうかはまだわかりません・・・・」

 

年初から スペイン・フランス・イタリアリでのサイタルを経て

2010年2月22日 ロンドン ロイヤル・フェスティヴァル・ホール

2010年3月1日  パリ サル・プレイエル

2010年4月29日 ウィーン楽友協会

 

そして5月~6月の日本ツアーへ

HPより、ヨーロッパの観衆も絶大な喝采をもって彼を賞賛した様子が伺われます。

先日の最終日も、スタンディングオベーションの喝采鳴り止まず、会場半数以上の方々が立ち上がり、私の並びにいらした白髪のお爺さまもステッキでよろよろ立って、喝采惜しまずのお姿でした。

 私がよく聴いていましたのは、アルゲリッチによるピアノソナタ第2番&第3番のCDでしたので、ここは、アルゲリッチの方が優る、などと脳内多少のぐるぐるはありましたが、総体的には 「死ぬ覚悟で臨んでいる」 という本人の言葉通りの円熟度の高い素晴らしい内容の演奏で

こちらも緊張して臨んだおかげで、低音に慣れたソナタ2番から集中して引き込まれ、スケルツォでこころ踊り 休憩

ソナタ3番の迫真により体が波に揺られて(後部座席のおぢさんが、ふんふん鼻歌するのが邪魔でしたけど:笑)

あっという間の 大好きな バルカロール では、終らないで!終らないで! と歎願する気持ちでいっぱいになりました。

 

ジャパン・アーツのHPを見ると

彼は2008年に明治学院大学にて、20世紀ポーランドが生んだ世界的に偉大な作曲家:ルトスワフスキについて語る講演会も催されていたのですね。

 ルトスワフスキのピアノ協奏曲の演奏会もあったようで

チョン・ミョンフン指揮/東京フィルハーモニー交響楽団と共演コンサート関連イヴェントだったのか?祖国ポーランドの現代音楽にも腐心されていました。

 

常套句と思える言葉でも、ポーランドの方が語れば、その深さは違うのですね。

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 以下 ルトスワフスキ氏からの手紙の引用

(ピアニスト、日本ルトスワフスキ協会副会長:阿部緋沙子さんへ送られた手紙)

 1971年6月14日 Szanowna i droga Pani (尊敬と愛をこめて)

 音楽は、人間の魂の最も繊細な楽器だと思います。

 この楽器の秘密の力があればこそ、この上なく遠くへだたった大陸に住む人々の間でさえお互いの魂のふれあいが得られるのです。

 今日の困難であつれきに満ちた世界ではとくに必要な貴重な魂のふれあいなのです。

 

 

羈 旅の画像

 

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