もえぎの日録

関心空間(2016.10.31閉鎖)から移行 日記とキーワードが混在しています 移ろう日々のことなどを記します

無 常

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イワン は 馬鹿 だ

トルストイ のほうではなく

スメルジャコフが犯人のあの話のことである

父殺し は 実のところ自分なのではないか

いや 自分なのだ と

自責と妄想に苛まれながらイワンはしだいに狂ってゆく

この長長しい物語が永年に渡り読み継がれる訳は

一見、通俗的に思える生の機微を

父親殺しの事件に纏わる 三兄弟の複合的な語りの中で

当時の社会情勢も絡め

金銭的問題に加え

信仰、情愛、知性、激情が、

さまざまな人間模様の くどいほどの科白を通して

アリョーシャを中心に 

浅薄な綺麗事にとどまらず

美醜清濁併せ持つ人間の姿を 或る種の情愛を込めて

活写しているところだろう。

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1月の幾日も、この物語の切れ切れが脳裡を霞め

眠りの浅い日が続き、昼夜の感覚を失いながら

大学病院に義母を見舞う日が続きました

電話で急変を知らされ

深夜の大学病院救命救急棟に駆けつけ

手術許可証に押印

強く手を握って手術室に送り出したのが最後

意識不明の植物状態が何日も続いた月末

義母は他界しました

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波乱の多かった義母の生

残された現実の物語に、結末は無く

そのシナリオは中空に放られたままの状態で

偉大な物語として伝えられる虚構の物語を反芻しつつ

生きねばならない、、、と思います。

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時を同じくして

この物語(亀山訳)を 

高校2年生3学期の課題本に推奨した国語教師は

とある事件により処分が下されることになりました。

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