囁 草
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常によく見る 夢乍ら
奇し 懐かし 身にぞ沁む
山間に漂う乳白の低い霧雲が途切れると
先ほど迄 地を叩いていた雨が嘘のように静まる
小降りとはいえ、やまない雨の湿地植物園には
人影もまばら
溜まりに ふたたび大粒の雨が水紋を描くと
あたりにはもう誰も居なくなっていた
こ暗い林にはオニユリが芳香
レンゲショウマも咲き出している
ちいさく開けられた木戸のむこう側が
湿地復元園(画像上・下)
開けた視界には、しとどの滴を含んだ夏草秋草
コオニユリ・サワギキョウ・エゾミソハギ・キキョウ・オミナエシ・コバギボウシ・カワラナデシコ
草蟲は静かな通奏低音を奏で
籠脱けの小鳥たちが
間近にあるいは間遠くに 夏歌を啼き交わす
為すがままを模した花畑の野原も多大な人の手を借り管理されていることだろう
標高650m この湿生花園と
標高1400m 戦場ヶ原湿原 / 標高1400~1600m 尾瀬ヶ原・大江湿原 を比べると
同じ花を見かけたりするので驚いたりもするが、やはり低湿地とあって高原の涼風が頬を撫でる贅沢はない、、、
かつて 大陸で愛でられ籠脱けが繁殖して野生化した鳥
野鳥愛好家には嫌われものの
ウグイスやホトトギスを凌ぎ さかんに歌っていた
大きな雨粒がふたたび落ちてきたので退散
画像中 レンゲショウマ