もえぎの日録

関心空間(2016.10.31閉鎖)から移行 日記とキーワードが混在しています 移ろう日々のことなどを記します

反 芻

辛夷・木蓮のうぶ毛に覆われた蕾もほころびはじめたというのに

   またしても この冬一番の寒さ 

この冬一番 も 

雛の月となれば この春一番 とでも言い替えるのか

かつて 櫻に雪の舞う季節があったのは記憶の隅にある

植物たちは

暮れに植え替えの遅れたガーデンシクラメンの3色が今を盛りに

手入れを怠ったミニ薔薇は、既に紅の新芽に葉が顔を出した

薔薇の植え替えは遅くとも2月迄に という教えのもと

やっと重い腰を上げて、10号鉢から10号鉢への引越しをする

昨冬、デビット・オースチン商標の緑鉢から初めての植え替え時は、いとも簡単にすんなりと大鉢へ移動できて、肥料や用土を足したのみ、ものの30分は要せず、3月には新芽があっという間に大きく伸び出した。

しかし、今回の植え替えには、なんと難儀したことか、、、

時間にして90分近く、いや、もっと。まずは10号鉢いっぱいに張った網の目状の根が鉢からなかなか抜けない。しかも、やっと抜いた根には、強く固く掴み取られた古い用土が事細かにがっちり握られ、削ぎ落とすのに要領を得ず、とんでもなく時間を要する。

3度目の春を迎えるオースチン薔薇の、土中に隠された強い密な毛細血管のごとき根を目の当たりにして、その昔に読んだ短編小説をまたも想い出すことになった。

   薔薇の根への偏愛

   TANTUS AMOR RADICORUM

昭和56年6月初版『薔薇への供物』は、

川口起美雄装丁の洒落た丸窓に抜かれた函入

幻想耽美淫靡とも言える既刊の単行本からの十一篇を著者自らが編んだ短編集

ギョーム・ド・ロリス&ジャン・ド・マン『薔薇物語』からの翻案もありでなかなか楽しめる内容。

また奇遇にも 鎌倉:書肆菫礼荘のI氏から『薔薇窗 19』が届く

藤色のインクで刷られた文字がうつくし

表紙 丸窓 に施された挿画に棲む青年は

やはりこちらも人外境の住人だろうか、、、。

画像中は、『薔薇物語』羊皮紙彩飾写本webより転載

反 芻の画像

反 芻の画像

反 芻の画像