もえぎの日録

関心空間(2016.10.31閉鎖)から移行 日記とキーワードが混在しています 移ろう日々のことなどを記します

神 末

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しろき秋のこころ沁みてひとあればふかく裂きたる眦をもつ

                           山中 智恵子

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のっぴきならないひとつの 美學 のようなものが

齢若きその青年の脳髄身體を雷(いかずち)の如く貫きとおし

その後の生きざまをも おのずと決めてしまう

     その 生きざま とは 

 世俗を厭い 糊口を濡らすにも いささか難儀と思われる道 

      ほんとうのさいわい

またしても こんな言葉が私のてのひらに天から降り來る刹那

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新日曜美術館 31日放送の 写実の果て 孤高の画家 高島野十郎

一昨年放送の回より、ずいぶん人間味を帯びた人物像が垣間見られていささか安堵の感。

早稲田露文の先生の言では、東京オリンピック前に渋谷で会って自宅で絵を見せられ、浮浪者のような佇まい匂い、、、と、ちらと言っていたような、、

オリンピックを機に千葉:柏郊外に転地。電気・ガス・水道も無い畑の中の一軒家一間に絵具だけのような生活で、85歳まで生きたというから再び脱帽すると同時に、元来丈夫な体の持ち主でもあったのだろう、、と推測。

40枚に及ぶ蝋燭の絵は、お世話になった方々へのお礼 とは

やはり幾人もの人が彼の才能を見出し、近親の方々と温かな交流があったことを物語る。

番組最後を締めくくった林英哲さんの言葉が重く響いた。

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冒頭 山中智恵子の歌は、

青年の頃より個人誌を発行し続けている石川貴一さんからの贈呈誌に添えられた一葉の手紙に付された歌。石川さんは、この活動をかれこれ十数年続けられ、沖積舎より単行本も出されている。今回の重陽節句の奥付のある最新号には、堀切直人さんの原稿も入り、益々充実した呈となっている。

石川さんは、既に青年というには憚られる齢かと思われるが、この方も、ある種緊張感のある美學に魅入られた人、、というのが私の中の括り。

触れれば斬れる とばかり、御目にかかったことこそないが、

徹底した美學を貫く生き様というものは、やはりなかなか真似のできない男性特有のもののような気がして 頂いたものは襟を正して向き合っております、、(やや汗)。

ここに御礼申し上げます。

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秋の展覧会情報

ヴィルヘルム・ハンマースホイ展

ジョットとその遺産展

表題 神末(かうずゑ) は 山中智恵子歌集の表題より

奈良の地名 

神 末の画像