鬼 灯
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盆の飾りは 黍 鬼灯
茄子馬 に とうもろこし のひげを付け
蓮の葉 ミソハギ 賽の目野菜 に ナマ米 など
祖母や母と 提燈や蝋燭の準備をするのも楽しかった幼い日
集まった従兄弟たちも帰り 静かになったゆうぐれの奥座敷
廻り燈籠が ゆらぐ影を障子に灯す時
ひとり お仏壇の前で
ふと 後ろの虚空に 呟いてみた
「 なかよくしようね 」
得体の知れないものとの交感を得れば
この世に怖いものはなし と幼いこころは考えた夏、、、
思春期になると煩わしく感じた親類とのやりとりも
ひとりまたひとりと亡くなってゆき 今では集う人も少なくなって
今年は寂しいお盆だった と母の電話
それは 世のならい せんかたなきこと と返答す