もえぎの日録

関心空間(2016.10.31閉鎖)から移行 日記とキーワードが混在しています 移ろう日々のことなどを記します

残 廃

暑中 お見舞い 申し上げます

土用の丑 というわけではないけれど

こう暑くては、スタミナをつけないと体が持ちません。

昨日はあちらの実家のお手伝い等で大汗かいたので

滋養にもよいでしょう。

ここの八目鰻は美味しいです。

白焼きに甘い山葵 冷たい吟醸酒でちょっとやりたい大暑を迎えた夏のゆうぐれ。

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マリオ・ジャコメッリのTV日曜美術館以来、脳内に巣喰う辺見庸のことばたち

『自分自身への審問』の形式は、『地下室の手記』にも通ずることばはこびで

その告発の勢いは、かつての丸山健二のようでもありましたが

癌手術による強度の麻酔や脳梗塞による記憶障害体験を経た

視覚や記憶にまつわる小説テクストも混交し

たいへん興味深く 読み易い内容の文章となっています。

  桐山襲 『パルチザン伝説』 をふと想い出したり

氷の鋭利な刃の如く、己の足元に不快に猛々しく向けられたことば

還暦を過ぎて病に倒れ 残された時間の中で費える記憶集成された意思

自己審問に揺れるように見せながら その実これは 坦懐な遺書

 たわけ と自らの家族も満足に養えなかった気弱な忖度を交える姿は

読み手として 泣き笑いのひしゃげた笑みを浮かべつつ

しかし即座に 私の笑いなど 一蹴される始末

 「この国独特の安手のシニシズムの空気 

  戦前から続いている独特のビヘイビアなのか 

  何もしない自分を高踏的に見せたいか、

  怒らない絶対多数の群れに居るという安心感からか 

  何の意味もない口からの放屁のような笑いか

  ぼくはあの笑いが嫌いで、時には淡い殺意さえ抱く」 と。

そうして随分アジられました。

  「悪はもう単体としては存在せず

   善的表層と常時リヴァーシブルな悪なのであり

   善悪無記などというような色分けも不可能なほど進化してしまった。

   悪はますます悪辣な善人面になっているのであり

   善の装いをした悪のみ存在して 反抗も暴動もない、、中略」

死へ刻々と向かっている時間

怒り奮え叫ぶことには 人一倍 元気印なこのおぢさん

たった独りのパルチザンには

いつになっても惚の字です、、、

よい本に出会いました。 

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