双 璧
先日 ギドン・クレーメル&クリスチャン・ツィメルマンのデュオコンサートに行ってきました。
第2番 イ長調作品100 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
第1番「雨の歌」 ト長調作品78 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
第3番 ニ短調作品108 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ
世界的に著名なヴァイオリニストとピアニストの共演とあって、全席指定の会場は満席
開場時間前に、既に長蛇の列ができており、関連グッズやCD売り場は人の波波波
見渡せばかなり年齢の高い客層です。
クレーメルは古典・ロマン派のみならず、アルヴォ・ペルトの楽曲をECM Recordsからキース・ジャレットとジョイントしたり、ピアソラのCDでも有名な、多方面で活躍する大変興味深いヴァイオリニスト。
一方、ツィメルマンは、1975年ショパンコンクール最年少の18歳優勝者
その当時、私はピアノ嫌いがピークに達していた中学生で、あまり年齢の違わない美少年の才能の栄冠に驚き呆れ果て挫折。
音大目指したわけでもないのに、ただただピアノ好きだった姉は、自分と近い歳のツィメルマンのモノクロポスターを音友(音楽の友社)か何処かで探してきて部屋に貼り付けました(ツィメルマンだけでなく、カラヤン、バーンスタイン、ホロビッツおじいちゃんとかポリーニとか際限なくベタベタ貼り、その頃はアシュケナージの髪も黒かった頃です)。
おもえば、ツィメルマンに関してはショパン関連レコードなどで聴いた記憶もありましたが
その内容よりも、当時の顔かたちのみが強く印象に残ってしまったから困りもの
その人が今や、シルバーグレーの円熟したおじさまピアニストなのです、、、
(翻って、自分を鏡に照らします、、、大汗)
関連情報を読めば、ツィメルマンはピアノメカニックに関してはかなり神経質らしく、
コンサートにはコンサート用自前スタインウェイを持ち歩いているといい、調律も楽曲に合わせて変えているようです。
以前に見た或る人のコンサートでは、一曲弾く度毎に調律させているピアニストもいました。
今回、休憩中の調律は皆無でしたから、開演前に専属調律師によって周到に調整されたのでしょう。
今回の公演は8会場 搬送関係の方のご苦労も忍ばれます。
しかしながら 冬場の公演は、一楽章毎の合間合間に待ってましたといわんばかりの聴衆の咳払いが凄い、、
年齢層の高いのもなにですが、生理現象だから仕方ないのかなぁ、、、
喉が辛ければ飴玉でもなめればよいのになぁ と、いつも思イマス。
今回のブラームスは、昨年の米カーネギーホール公演の再演のもよう
仰々しくドラマチックで、なんだかいつも深刻ぶっているようなブラームスの旋律は
常にベートーヴェンを意識していたという事に、うんうんと納得してしまうのですが、、
そんな眉間に皺が寄るような調べを、還暦のクレーメルが或る時は軽軽とまた観念的繊細さで弾きこなし、
艶のあるその音色は素晴らしいものでした。
ツィメルマンがこころなしか遠慮がちに演奏しているように見えたのは私だけでしょうか、、。
私の前の席で、ヴァイオリンケースを抱えた音大生のような女の子が
大船を漕いでいたので 苦笑しました。
画像はスタインウェイピアノHPより拝借