叱 咤
日曜朝 TV番組のチャンネルを替えていると
なにやら聞き覚えのある旋律
前髪パッツン、揉み上げパッツンのクリスティアン・ティーレマンが
ウィーンフィルを棒振りするワーグナー楽劇 『トリスタンとイゾルデ』
この曲を聴くと想い出すのは、
特異な経歴の同じ歳の医大生より長い長い手紙をもらった十代の終わり
内容は互いに書きよせた雑文についての感想と意見だったが
その彼の書いた詩文が楽劇『トリスタンとイゾルデ』だった
私の散文に対して彼の意見は、客観的で明晰、説得力ある分析で舌を巻いた。
かつ、鳩居堂製の封筒と便箋に書かれたブルーブラックのペン字は流麗達筆
この人の脳味噌はいったいどういう構造なのだろう、、
その後、神保町でお逢いする機会を得て古本屋街を散策したことがあったが
ご縁がなくて雲散霧消
「私立武蔵高校を中退して音楽事務所で通訳として働きながら
大学資格試験で一浪で東京医科歯科大学合格とは凄すぎます 」
「勉強したからです」
「でも、その間も働いていらっしゃったのですよね」
「そうです。勉強すればあなたにもできますよ。」
「、、、、、、私は理数系は苦手ですし、解らない世界だからあなたが素晴らしく思える」
「勉強すればいいことなんです。どうして勉強しないのですか。」
「、、、、、、、、、、、」
(この方はその後、国立研究機関を経て母校で精神科医として教鞭をとっている)
「どうして勉強しないのですか」
この言葉は軽いトラウマになり、自分は勉強嫌いなのだなぁとつくづく感じてきた。
神保町のあの場所に立つと想い出す自分の勉強嫌い
しかし だからこそ叱咤されマイペースで奮起しようとする自分もいる
「勉強せぃ たとえ実利に繋がらぬことでも知る喜びは何かを変える」と。
昨日は所用で神保町
3千円だったか5千円だったか以上の買い物をすると宅配サービス無料のブースもあった
時間を忘れてつい買い込んでしまう場所なのだが、自宅の書庫整理を思い出して少なめに留めた。