独 居
渋滞の合間をくぐり抜けて久しぶりに実家に帰省
今回は一人でのんびり、、、とは、悠長に言っていられないのが世の常で
身体の動きが緩慢になりつつある母に代わって
老夫婦二人には無駄に広くなってしまった家の細々の整理・整頓など
まずは箪笥三棹分の私たち姉妹の古着の整理という課題から
七・五・三の着物から小学校時代に着ていた手作り機械編みのセーター・スカート・カーディガン 中・高・大学時代の流行が垣間見られる傷みの無いものばかりが取り置かれていた為に、捨てるには惜しいものばかり、手に取ればもの想う時間ばかりが過ぎてゆく
えい と思い切って袋に入れて あっという間に、45リットルゴミ袋が数個。
書棚には、もう誰も手に取ることもなくなった平凡社の世界大百科事典と
これはどうしようもなく重たい塵芥で、見ただけで片付けの意欲が失せた。
よくよく見ると 文学全集の中に『岩野泡鳴集』がある
秋山駿『私小説という人生』では、
花袋 『蒲団』 と 泡鳴 『耽溺』 が詳細に比較されて
『耽溺』は滑稽小説として手厳しく難されていたから どれどれと、手にとってみた。
かくかくしかじか うむうむ なるほど
イージーゴーイングとはこのことか、、、
深夜 クビキリギスの高周波が耳鳴りのように聴こえるので中途で頁を閉じる
「 花袋の主人公のは、恋愛であるが、
泡鳴の主人公のは、情事である。恋愛ではない。 」