遠 景
5月の陽気という日がやってきたかと思えば
突然1月の気温に逆戻りという寒々しい日
相変わらずの消化器系不調をなだめて、浦和の埼玉県立近代美術館へ
あまり余計なことは考えずに展示品を素直に鑑賞しようと思ったのだが
余計な想いばかりが脳裡を翳め飛んで鑑賞をさまたげる
この人の翻訳・創作・随筆・美術評論の仕事はきっちり横に置いても
もうずいぶん昔に
『兎とよばれた女』の告白めいた自浄譚がもたらしたものの大きさ、、
ひくく垂れ込めた雲を払いのけながら
加納光於のグザヴィエ・フォルヌレの肖像や
現代思潮社主催の美術学校のポスターに現れた講師陣に片岡啓治の名前
キルヒャーのシナ図版の逆版使いなどに眼を留めた。
展示された美術作家作品群は、すでに澁澤既刊本等で紹介されているもの
2005年世田谷美術館での瀧口修造展の網羅的展示数に比べると
澁澤ファンにはやや物足りなさを感じるかもしれない。
書棚に放り込まれたままになっている翻訳ものを
何年かぶりにまた手にとってみようか、、、、