虚 勢
もう何年も前にラジオ音楽番組で渋谷陽一が言っていた
この話は、既に昭和の話となったか
荒井由美「埠頭を渡る風」の歌詞
もうそれ以上 もうそれ以上
やさしくなんて しなくていいのよ
いつでも強がる姿 好きだから
虚勢をはる男性の心理を見抜いた女性のこころくばりに脱帽したというものだった。
あれから二十数年が経た現在、
新聞書評欄を読んでいるとその様相の変化が本となっている。
文学は、高度経済成長以来 父親不在(居ても父権が失墜し、存在感がない)
家庭は母と子の物語に終始し
男性は、強さを隠すどころか弱みを露呈することでアピールし
経済的にも強くなったパートナーとなる女性より情愛を得ようと苦心する
2・3年前にも島田雅彦がコラムで、
今の世の中、弱みを見せつける男がもてるのはナゼ とぼやいていたのを思い出した。
強い男は流行らないのだろうなぁ
弱みをさらけだしてくれたほうが全人格的で人間的と納得するのだろうか
むろん 個別の価値観であるからどちらがどうということではないが
周囲を見廻して ここもあそこもそんなカップルばかりが眼につくから面白い。
キーワード関連から<渋さ><渋み>を考える今日この頃
そのうちに渋味をかもす女性が現れるのではと杞憂。