もえぎの日録

関心空間(2016.10.31閉鎖)から移行 日記とキーワードが混在しています 移ろう日々のことなどを記します

霹 靂

の画像

映画 『ゲルマニウムの夜』 画像はパンフレットより

http://www.aratofilm.com/

 

曇天の真冬日 東京国立博物館 西門を入り テント仕立ての特設会場に赴くと

入り口で エスプレッソコーヒーとチョコレート のサービスがあった

上映前の暖かな場内には 

ガブリエル・フォーレ の レクイエム In paradisum が、静かに流れている

www.youtube.com

画像は いくつかが息を呑むほどの美しさで その他のリアル&グロ悪とも思われる醜の描き方の振幅が、この映画の要でもあるのだろう

原作を読んで確認すると、映画は厳冬期に撮影されている点が小説とは大きく違っている(原作小説:花村萬月ゲルマニウムの夜』1998年芥川賞

 

…神を 半ば疑り深く試すが如く揶揄的に扱いながら、あて途ない青年の衝動が神の真意に肉迫しようと 科白の少ない映像は 映画では また饒舌になる

 

神との対峙

 

近々に観た映画『乱歩地獄』『パッチギ』を反芻する激しい暴力シーンもあったため、途中 眼をおおいたくもなった

   暴力・手淫・殺人・交接・変質狂・受胎・救済・浄化

主人公:朧(新井浩文)の無表情で抑揚の無い言動が 惡 を更に深くする

懺悔室でのシーンは観る者が 苦痛なほど長くてもいいだろう

まるで観るものも ともに懺悔するごとくの時間として

 

佐藤 慶 の存在感・声の抑揚は流石にベテラン 作中の白眉だった

鶏舎・豚舎でのリアル画像は 悪臭が漂うかのようで

これも 腐臭 を放ちたがっている映画に違いない

 

そして エンディングロールの後にも フォーレが静かに会場を満たす

この天上の音楽がすべての悪徳を昇華させてゆくように思えた

 

終わりには

製作総指揮:荒戸源次郎氏 監督:大森 立嗣氏より

丁重な舞台挨拶と出口での見送りがあった。

荒戸映画は『ツィゴイネルワイゼン』以来、リアルタイムで観てきたので

前作『赤目四十八瀧』のお話を交えながらサインを戴く。若き大森監督(35歳)は、父が麿赤兒、弟は大森南朋。★3つかな?

一角座スタッフの熱い映画づくりが伝わる作品。