、
桑原氏のスコープオブジェは、実物を是非とも観たいと想い温めていた。
この方は毎年年末に個展をされている。
http://www.cre-8.jp/pickup/88.html
スコープ公開時間には少し遅れたが、
暗幕を張った部屋にて桑原氏ご本人から懐中電灯(マグライト)を当て、ひとつひとつご説明いただく幸運に恵まれる。
三方向からのライティングによって演出されるミニアチュール空間は、
幻惑に揺らぎ降る雨の光で冥府に誘われ、、、
視点は、突如として遠近感を持つ奥の別室の間遠くへと誘惑される。
…存じ上げておりますとも。
私は、この映画を確か三十数回は繰り返し観ていますから。
懐かしい古謡 天井の無いサンガルガノ
雨 受胎告知 1+1=1 蝋燭の儀式 焼身の祈り
歓喜 イタリア、、、
桑原氏自身も、ノスタルジアの風景を求めてサンガルガノへ赴いたという。
他の作品「Alice」「庭」「望遠鏡」
てのひらに納まるちいさな匣に設えられた冥宮へ
、、、明滅する ひかり とともに まっさかさまに 堕ちる旅、、、
パロル舎刊 『 スコープ少年の不思議な旅 』 を観ると
2003年の作品 「 ピラネージ 」 も大変美しい緑青の玉手匣
巌谷國士氏が言うところの
ジャメ・ヴュ(未視)とデジャ・ヴュ(既視)とがひとつのものになる
とは、まさに言い当てたり というところ。
さまざまに魅了され符牒する作品主題の中に
作品2003 「 黒い男 」 が
グザヴィエ・フォルヌレ 「 草叢のダイヤモンド 」 の作者であることを見出した時、
タルコフスキーの部屋を観た感激と同様に
心臓を射抜かれた。
ここにも独り
あの奇妙な
死にゆく螢の如き美しい作品に魅了された人間が居る
、、、、遠い時間の遡行、、、、。
.